第29回海岸愛護写真コンクール入賞作品集の公開;pdf

第29 回
海岸愛護写真コンクール入賞作品集
-美しく、安全で、いきいきした海岸を目指して-
国土交通大臣賞
「孫の禊」(和歌山県 煙樹ヶ浜海岸)
山中 健次(和歌山県伊都郡かつらぎ町)
海の神事は沢山ありますが、その中でも人との関わりを明瞭に表現しています。幼児のむっちりとした健康そうな
足が波に洗われた瞬間を撮影しているところに、明快で印象的な構成と、作者の思いを強く感じました。鑑賞者も丸々
と太った男の子の健康と成長を願うことでしょう。審査員全員一致で国土交通大臣賞受賞作に選ばれました。
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全国海岸協会会長賞
「じいじの田舎で海水浴」(鹿児島県 高須海岸)
河野 純一(鹿児島県鹿屋市)
おじいさんの田舎で過ごした浜辺の思い出がこの一枚に集約されていることが、お父さんとして嬉しいことだと思
います。写真は発見する目でその瞬間を残すことです。照りつける夏の光、遠浅の海、かき氷の冷たさと美味しさな
どが一枚の写真作品にドラマとして、また思い出として残りました。
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特 選
特 選
「ミラーに映るレインボーブリッジ」(東京都 お台場海浜公園)
神田 昭(東京都大田区)
サングラスに映り込んだ対岸の光景の中に好天に恵まれて浜辺に集う人々が楽しげにうごめいています。その雰囲
気の中でサングラスだけが気だるく眠りかけたような印象があるところにユーモラスを感じました。サングラスの角
度をどうするか思案しながら、浜辺で楽しんで撮影した作者が素敵です。
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特 選
「孤立無援」(岩手県 田老海岸)
太田 誉(岩手県宮古市)
とてもユニークな見方をしています。ストレートに波のエネルギーの凄さに迫力を感じると同時に、孤立無援でそ
のエネルギーを全身で受け止めているブロックに対する心優しい作者の気持ちを感じます。感情が映り込むところに
写真の奥深さがあります。感性が素晴らしい写真作品です。
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特 選
「イソメを探す」(大分県 波戸津海岸)
山本 聡明(大分県別府市)
道具の跡が面白い模様を描いているところに作者の視点があり、印象的な模様ができています。それをモノトーン
調に構成したところが良いと思います。ご婦人が貝を掘っているところだと思いますが、この浜の環境が良いという
証ではないかと思います。長く続く浜辺のどこまでもどこまでも掘り続けていた、そんなドラマを感じます。
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入 選
入 選 「低気圧の芸術」(宮城県 雲雀野海岸)
髙橋 太治(宮城県石巻市)
作者はこの浜辺を熟知しているようです。写真撮影の基本でもある「よく観察すること」
を実践した結果がこの写真作品を生み出したと言えます。波の形が美しく撮影のタイミン
グが良いので、本当に迫力があります。また、浜は安全と危険が背中合わせにあることも
教えてくれている写真作品です。
入 選 「台風一過」(福島県 波立海岸)
中川 秀男(福島県いわき市)
岩場にポツンと鳥居があるということは由緒ある島なのでしょう。そこに虹がかかって
いる光景に出会い、まさに神々しさが感じられます。偶然を丁寧に捉えている素敵な写真
作品です。まだ太陽が高いので虹のかかり具合が低くなっているところにもこの写真作品
の良さがあります。
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入 選 「御浜降り」(千葉県 真亀海岸)
小栗山 秀男(千葉県山武郡九十九里町)
祭りの写真撮影は何処のポジションから撮影するかによって意図や可能な構成に大きく
影響します。作者は海の中に浸かって待っていたと察します。浜辺に沿って行く祭りの行
列を印象づける神官の衣装と神輿とのバランスがとても良い雰囲気に捉えられています。
ワクワクしながら待つ撮影は楽しいものです。
入 選 「手をつないで」(三重県 御座白浜海岸)
山本 幸平(三重県志摩市)
浜辺で楽しそうに踊る海女さんたちとその中に入っている若い二人、何かのイベントで
の飛び入りなのでしょうか。楽しそうなリズム感が素敵な写真作品に仕上がっています。
作者自身が楽しみながら撮影することはとても大事だと思います。
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入 選 「諸手船神事」(島根県 美保湾)
松井 浩美(京都府長岡京市)
海の祭事は多種多様ですが、伝統が次第に消えていく時代背景があるように感じます。
写真に記録し残すことの大切な意味と意義があります。若い人たちが参加している海の祭
を闊達に切り撮っています。これからもこの姿勢を貫いた撮影を心がけてください。
入 選 「潮干狩り」(兵庫県 新舞子海岸)
長谷 利宏(兵庫県姫路市)
広い海浜で群衆が潮干狩りを楽しんでいる光景を拝見するとあさりの味噌汁が飲みたく
なります。生態系が守られ安全な貝の収穫ができる喜びが感じられます。水質の検査など
潮干狩場を管理する裏方さんのご苦労も理解できる写真作品です。それにしてもすごい人
出ですね。さぞここの貝は美味しいのでしょう。
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入 選 「台風一過」(和歌山県 橋杭岩海岸)
谷中 よしお(和歌山県田辺市)
台風一過、自然環境は大きく変化するようです。波浪で運ばれた砂の山がいつもの橋杭
岩とはひと味違った風景を見せています。その変化に気付き記録した作者の感受性が素晴
らしいと思います。このように観察を深め記録することこそ良い写真ができる要素になる
と思いますし、それが写真撮影の使命です。
入 選 「夕照の鳥取砂丘」(鳥取県 鳥取砂丘海岸)
斎藤 孝子(岡山県岡山市)
穏やかな日の日本海。夕暮れの美しい色彩と情緒が作者のイメージ通りに残されている
と思いました。一人佇む人物が鑑賞者の気持ちと一致しているような感じを覚える写真作
品です。夕焼けの色彩と青海苔の緑がマッチする瞬間を待った作者の努力が実りました。
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入 選 「私達の自然を大切に!」(鹿児島県 土盛海岸)
吉行 秀和(鹿児島県奄美市)
浜辺のヤドカリに近づいて撮影することで環境保全された海岸美を表現したところがと
ても良いと思いました。環境保全は簡単なようで難しいことが沢山あります。ひとり一人
の意識が重要で、愛くるしいヤドカリが沢山生息できる環境を皆なで作りたいものです。
奨 励 賞
奨励賞
「夕凪」(北海道 金比羅岬海岸)
加藤 明彦(北海道苫前郡初山別村)
奨励賞
「休日」(沖縄県 カイジ浜海岸)
大岡 雅人(群馬県高崎市)
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奨励賞
「ハマヒルガオ咲く」(千葉県 太東崎海岸)
保屋野 厚(東京都北区)
奨励賞
「残照奇岩」(神奈川県 荒崎海岸)
小髙 紘佑(神奈川県横浜市)
奨励賞
「湘南海岸・秋の花火」(神奈川県 稲村ケ崎海岸)
片山 和澄(神奈川県横浜市)
奨励賞
「連続写真?」
(富山県 八重津浜海岸)
小川 圭二(富山県富山市)
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奨励賞
「夕暮れに癒されて」(大阪府 尾崎海岸)
中尾 盛幸(大阪府阪南市)
奨励賞
「皆の力一つに」(岡山県 渋川海岸)
中田 康之(岡山県岡山市)
奨励賞
「浜辺でビーチバレー」(香川県 一の宮海岸)
横山 彰(香川県観音寺市)
奨励賞
「瞬間!」(山口県 虹が浜海岸)
三浦 秀貴(山口県下松市)
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奨励賞
「海辺の舞」(高知県 奈良師海岸)
山西 典夫(高知県香南市)
奨励賞
「満潮避難」(佐賀県 東与賀海岸)
髙良 慶治(福岡県久留米市)
奨励賞
「戦国の戦場に散って行くひと時」
(熊本県 御立岬)
伊藤 健一郎(福岡県大牟田市)
奨励賞
「楽園」(沖縄県 万座毛海岸)
おおき ゆうこう
(沖縄県島尻郡南風原町)
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受賞者のコメント
今回のコンクールにおいて、国土交通大臣賞と全国海岸協会会長賞を
受賞されたお二人によろこびのコメントをいただきました。
国土交通大臣賞
「孫の禊」
和歌山県伊都郡かつらぎ町 山中 健次
和歌山県の海岸線は約 650㎞。平成 26 年8月には南部地域9市町村の海岸等が日本ジオ
パークの1つ「南紀熊野ジオパーク」として登録されました。黒潮暖流が和歌山県沖を流れ
ているため比較的温暖で奇岩・変岩なども多く、和歌山市の和歌浦や白浜町の三段壁、千畳
敷などの風光明媚な海岸美を求めて全国各地から多数の観光客が訪れます。
しかし、山に囲まれた私の住む町から海までは 35㎞ほどあり、交通の発達してなかった子
どもの頃は、1年に1~2回程度しか海を見ることはできませんでした。そのような中、両
親に連れられ毎年夏休みに行った海水浴は大変楽しかったことを今でも覚えています。
その海水浴場も埋め立てられ、現在は松林を少し残すだけで、かつての面影はほとんどありません。
交通網が発達し、皆が自動車を保有するようになり、いつでも海へ行くことができるようになりましたが、山間部
に住んでいる私にとって、今でも海は憧れであり、特別な存在です。
沖縄をはじめとして、全国各地を巡ってたくさんの海の写真を撮ってきましたが、海岸はただ美しいだけではなく
地域の方々の癒しの場であり、また各種の行事や生活の場などでもあります。
今回の「孫の禊」は、本県中部の煙樹が浜海岸で行われた祭事の1場面で、祭り衣装のおじいさんが孫の足先を海
水に浸して、健康に育つように願っているところです。幼子は何をしているのか分からないような表情でしたが、撮
影している私としては、おじいさんの愛情や家族の絆を感じ、温かい気持ちになりました。
海辺に住まわれている人々には、これからも、このような海との関わりのある祭りなどを大事にして、継承・保存していっ
てもらいたいと思うと同時に、私も写真を通じて海岸の大切さについて考え、撮影し、発信していきたいと思っています。
全国海岸協会会長賞
「じいじの田舎で海水浴」
鹿児島県鹿屋市 河野 純一
撮影地は、鹿児島県・大隅半島のほぼ中央に位置する鹿屋市の錦江湾沿いの高須海水浴場
です。私が子供の頃は、国鉄・古江線があり、夏ともなると大勢の人々が高須駅からこの海
水浴場に行列をなし、休憩場には冷えたスイカ、綿あめ、かき氷などの屋台が出たり、花火
大会が開催されたりとそれは賑やかで夏が来るのが楽しみでしたが、その後鉄道は廃線にな
り、少子高齢化でこの海水浴場を訪れる人も年々少なくなってきているようです。そういう
中でも、近年は海の日の前日に「マリンフェスタ in かのや」が開催され、マリンスポーツ
に興じる人や見物人が訪れるようになってきています。また、今年1月から海亀の保護施設
も建設中です。私が、この地に家を新築した際、町内に下水道が完備されていないことから、合併処理浄化槽を設置
しました。保守点検に来た業者の話では、
「この町は、他の町に比べて浄化槽の設置率が高いですよ、やはり地元の
人は川や海を大事にしていますね。
」との話を聞いて、川や海が昔と変わらずにきれいに維持されていることを知る
ことができました。
定年退職を機に大阪から 40 数年ぶりに実家に居を移し早1年、待ち焦がれた4歳の孫娘が夏休みに大阪から娘と
やってきました。可愛いビキニの水着と頭には保育園の帽子を被り、浮き輪を付けて波と戯れたり、遠浅の浜で砂遊
びをしながら娘と海水浴を楽しんでいました。写真は、遊びすぎてのどが渇いたのか、妻が買って来たかき氷をおい
しそうに娘から食べさせてもらっている瞬間を写したものです。
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審 査 員(敬称略)
公益社団法人 日本写真家協会会員(JPS)
丹地 敏明
公益社団法人 日本写真協会会員(PSJ)
山﨑 康生
(前 富士フイルムイメージングシステムズ株式会社)
国土交通省 水管理・国土保全局 海岸室 課長補佐
一般社団法人 全国海岸協会 事務局長
大場 芳成
佐々木康志
審 査 総 評
公益社団法人 日本写真家協会会員(JPS)
丹 地 敏 明
第29 回海岸愛護写真コンクールの応募作品を拝見して感じたことは、毎回のことですが前年度の入賞作
品に類似したものが多く見られました。写真作品は基本的に個々人の考えや感動が素直に写っていることが
一番大切なことです。写真は伝達方法のひとつです。絵葉書の写真を見て行ってみたいなと思ったり、目の
前の状況が可愛いとか凄いとかの驚きなどは全て個人個人が感じることです。それらの感情が写真になるの
です。愛情を持って撮った自分自身の想いをプリントにして応募して欲しいと思います。スマートフォン・
コンパクトデジタルカメラ・一眼デジタルカメラなど沢山の種類がありますから、どのカメラで撮影しよう
と構いません。多くの若者たちのご応募も期待しています。また、一般社団法人全国海岸協会のホームペー
ジ http://www.kaigan.or.jp/ を参照し、過去に入賞した写真では無いあなた自身の感性で撮影した写真を
応募して欲しいと願っています。
ひとつ残念なことがありました。入賞の辞退者が初めて出たことです。入賞は名誉なことだと思います。
人数の限られた入選者ですので、他の方のチャンスを奪うことにもなります。辞退するのであれば最初から
応募を控えていただければと思います。名誉をいただく気持ちを忘れないようにして欲しいと思います。 次回は第 30 回という節目のコンクールです。皆さんの地元の海岸を見直すチャンスでもあります。日本
の美しくて安全な海岸との触れ合いをあなたの写真に撮影して、審査員一同ご応募をお待ちしています。
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第29回 海岸愛護写真コンクール
四面を海に囲まれたわが国では、海岸は、生活、産業、レクリエーションなどの場として
多様に活用されています。そこでは、海岸災害を防ぎ、美しく、安全で、いきいきとした海
岸を創出する努力が続けられていますが、うるおいとやすらぎのある海岸への期待は、ます
ます高まっております。
このような、私たちにとって貴重な自然空間である海岸を、私たちみんなで大切に守り、
育てる心の広がりを願って、このコンクールを行うものです。
○主催 一般社団法人 全国海岸協会
○後援 国土交通省
○協賛 富士フイルムイメージングシステム株式会社
発行 一般社団法人 全国海岸協会
TEL:03-3595-6633 FAX:03-3595-6634
URL http://www.kaigan.or.jp E-mail:info@kaigan.or.jp
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